春のエネルギー
東洋思想の中で私が特に好きなのは、森羅万象、全てを移り変わり流れていくものとして捉えている所だ。
人や自然は、物体としてその特徴や性質が固定化され、分類されるのでなく陰陽五行の宇宙の中で常に流動するエネルギーとして存在している。
その視点から物事を眺めるとエネルギーの流れが見えてくる。
例えば季節、今年も春が来て今、まさに春が起こっている。気候や植物は勿論、人間の中にも春が起きる。
人の中に春が起きているとは何ともおかしな表現だが、日々治療を通して体を診せてもらっていると、この表現がとてもしっくりとくる。
時期で言えば丁度、立春頃に明らかに日差しがまぶしくなる時からゴールデンウイークの前頃に、多くの人の身体に様々な春特有の反応(症状)が現れる。
その特徴はまず上半身、特に首から上に出やすい事、また筋肉にも現われやすい。そして出かたとしては急に激しく症状が出て直ぐに治まる。
毎年決まって多いのは、頭痛、めまい、目の症状(充血、物もらい等その他もろもろ…)、寝違え、ぎっくり腰、湿疹、急な下痢等などいずれもこの特徴に当てはまる。さらに冬には治まっていた持病がうずくのもこの頃が多い。
これは自然を見れば一目瞭然で、新芽が芽吹くこの時期は上へ上へ吹き出すエネルギーが一気に強くなるから。だから人の体も同じように反応する。
春は五行(東洋思想ですべての物事を木火土金水の5つで表す考え方)で言えば木(もく)のエネルギーで、これは体では筋肉や自律神経、目や血液などをコントロールしている。
木のエネルギーの特徴は上に上に上が昇(のぼる)、成長する、ゆったりと伸びていくと言った所。
何かと不調の多いこの時期だが、実は体の中では秋冬モードから春夏モードへの切り替えが忙しく起きている。
昨年の冬までの古くなった物を出して、新しく生まれ変わろうと頑張っていると思うと、なんだか健気で応援したくなる。
だから春が起きている体を不調も含めて、暖かく見守ってあげて欲しい。
いくら歳をとっても体は春には再生し成長するのだから…。
次回はこの続きで春と情緒について…。